皆さん、こんにちは。
広報部長です。最近更新をサボっていたので更新頻度を上げようと投稿してみました。
水泳の練習について調べている時に見つけた論文をご紹介しようと思います。
論文のタイトルは、
“ Effects of Manipulating Volume and Intensity Training in Masters Swimmers ”
日本語にすると、マスターズスイマーに対する運動量と強度の影響といった所でしょうか。
要は、低負荷で長い距離を泳いだ時、高負荷で短い距離を泳いだ時の影響を調べたものです。
2015年に発表されたこの論文は、イタリアの大学グループが発表したものなので恐らくイタリア人から得られたデータです。
調査の対象者は、
10人の男性スイマー
年齢32.3±5.1歳 (私たちに近い年齢ですね)
身長181±4cm (さすが欧米人デカい!)
体重77.0±6.5kg (結構筋肉質?または少しポッチャリかも)
運動歴11±4年 (しっかり運動してますね)
水泳のトレーニングは週3回 1回3000mほど
専門はフリーで距離 50~400m
このため、この調査は全てクロールの結果となります。
しれっとこんな文章が…
" they competed in the 14th FINA World Masters Championship "
第14回世界マスターズに出場してますね。
肝心の調査方法ですが、日本語で自分が書いた図を載せておきます。
6週間の間に週3回のペースでトレーニングしています。
このAnaerobic Threshold:ATは、血液中の乳酸が急激に増加する運動強度
つまり、無酸素運動になる運動強度を調べています。
VO2 Maxは最大酸素摂取量と呼ばれ、吸い込んだ酸素がどれだけ筋肉に送られるかを調べており、有酸素運動能力の指標となります。
具体的なトレーニングメニューは、以下の通りです。
練習は4プランに分けられており、低負荷高総量(HvLi)は、調査前に行っていた練習の30%増
高負荷低総量の練習は低負荷高総量(LvHi)の練習の50%になるように設定されています。
調査の結果は、VO2 Maxは、どちらのトレーニングでも同じように上昇しました。
調査前タイムに比べて低負荷高総量(HvLi)の練習後のタイムは、400m,2000mでは改善しましたが、100mのタイムは変化がありませんでした。
一方、高負荷低総量(LvHi)の練習を行った後は、100m,400m,2000m全ての項目で改善がみられました。更に100mにおいては、低負荷高総量練習よりもより改善しています。
また乳酸の急激な上昇を起こす運動強度(泳ぐ際の秒速で表す)が増加しています。
タイムはこちらです。有意に速くなっているものにはアスタリスクが付いています。
低負荷高総量(HvLi)練習は、400mから2000m(ミドルからロング)の競技パフォーマンスに良い影響を与える可能性があります。
一方で、高負荷低総量(LvHi)練習は、特に100mなどのショート競技に有効であり、ミドル、ロングのタイムに影響をあまり与えない事が示唆されます。
しかしながら、水泳の練習強度と量に関する論文は、少なく調査対象もバラバラ(マスターズスイマーのものや、トップアスリートが対象のものも)であり、相反する結論を導いている論文もあります。
今回ご紹介させていただいた説も、皆さんが練習を組む際に一つの参考にしていただければと思います。
例えば、あまり泳ぐ時間が取れない時期など
最後はやはり、試してみて自分に合うかどうかによる所が大きいはずです。
自分の専門分野でないのでこの解釈がどこまで正しいか自信がありませんので、
興味があれば、ここから論文を手に入れる事ができますのでぜひ読んでみて下さい。
また面白い情報があればお知らせできればと思います。
皆さんも何か良さそうな情報があれば、教えていただければありがたいです。
皆でマスターズ水泳を盛り上げていきましょう。
それでは次の更新まで…
Comments